デザインの解剖展で気付いたモノ創りの奥深さ
21_21DESIGN SIGHTにて開催されている「デザインの解剖展」に行ってきた。
「デザインの解剖」は、身近な製品を「デザインの視点」で解剖し、各製品の成り立ちを徹底して検証する試みだそうだ。
明治の製品を様々な視点から解剖。
明治の代表的なお菓子である「きのこの山」や「明治ブルガリアヨーグルト」などが解剖され、ただ単なるパッケージデザインだけではなく、様々な視点で製品の成り立ちが紹介されていた。
- 商品の歴史
- 商品の市場
- ネーミング
- PRのキャッチコピー
- パッケージデザイン
- 素材・素材の成分
- 製法
- 製品工程
- 人間の食感(味覚)
など、製品が出来上がる工程一つひとつを深堀りし、言語化、可視化された内容だった。実際の展示資料はこんな感じ。
モノ創りの現場は奥深く、関与する関係者の複雑さが多い。
改めてモノ創りの現場の奥深さと面白みが理解できる内容だった。またモノを作る過程で様々な業者や人々が関与していることも非常に分かりやすく見えた。各工程で、専門知識を持った人たちが、研究し尽くした結果として生まれている製品。
しかし、その裏側を知らずに、私たちはスーパーで陳列されているモノを、自分にとってより好みの商品はどれか?より安く、よりおいしいものはどれか?という視点だけで購入している現実がある。
佐藤卓さんがこの展示会を開催したきっかけ
今回この展示会をディレクションしたのが、クリエイティブディレクターの佐藤卓さん。彼がこの企画を開催するきっかけになったのが、ものづくりの現場がブラックボックス化して、生活者にとって一つひとつ商品の価値の理解が薄れていくことへの危機感でした。
ものづくりの裏側を知らないから、大切に使おうという気持ちや愛着も生まれないまま、まだまだ使用できるものを捨ててしまう。捨てたものが、その後どう処理されているのかも分かりません。来し方行く末を何も知らされないのが現代社会なのです。
経済だけが豊かさの指標になり、ものに対してのありがたみを理解するのが難しい時代になっているのは確か。自分自身も社会を生活する一員として、社会を創る一員として経済的な視点だけではなく、文化的な視点から世の中に溢れるサービス、商品を見ていく大切さを改めて気付きを得た機会でした。